自然と生理的環境 >> 癌とは何か 3|健康コラム|日本カイロプラクティックドクター専門学院

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健康コラム

自然と生理的環境 >> 癌とは何か 3

 マサチューセッツ工科大学ロバート・ワインバーグ教授は、1982年に初めてがん遺伝子を発見しました。
毎日数千億個以上の細胞がコピーを繰り返していますので、2000や3000個の細胞のコピーミスは普通にあることです。
生きていること自体が癌を生んでいるのです。

 ワインバーグ教授は、細胞の中の遺伝子の一つRASに着目しました。
細胞の中では、人の脳で理解しきれないほどの遺伝子が、パスウェー(信号経路)によって情報のやり取りをしています。

RASはその中の一つで、細胞を分裂させ細胞を増やす役目を担っています。
しかしこのRASに異常をきたすと細胞を増やす命令だけが暴走してしまいます。すると細胞が成熟して活動、そして役目を終えると死滅するというプロセスが行われず、成熟出来ない、つまり正常に働けない細胞をどんどん分裂させて増やしてし
まうことになります。

これががん遺伝子RASの暴走です。
ある標本に、宿主が死んでからも50年間衰えもせずさかんに分裂しつづけている癌細胞があります。
まさにRASが暴走したパスウェーの異常信号です。

 現在の最先端の抗がん剤の分子標的薬は、この異常パスウェーの入り口を塞ぎ暴走を止めようというものですが、遺伝子異常は一人一人違うのでなかなか的を得られない、うまくはまったとしてもRASそのものが自らを変化させて、パスウェーの途中から異常信号を出したり、まったく違う経路でがん遺伝子が働きだしたりするので、そうなるとこの抗がん剤も何の意味もな
くなってしまいます。

この働きが、癌が化学物質(抗癌剤など)に耐性を持ち自らを進化させている状態であり、癌細胞が旺盛に増え続ける
原因の一つです。

 ジョーンズ・ホプキンス大学のグレック・セメンザ教授は、癌の浸潤に関する遺伝子を発見しました。
HIF-1遺伝子です。癌は自ら血管を増やしながら分裂増殖していきます。
しかしそのとき中心部は徐々に低酸素な状態になっていきます。

癌細胞が大きくなればなるほど中心部分は低酸素になっていきます。
この低酸素領域で生き抜く能力や、そしてそこから移動して新しい癌細胞のドームを形成するための能力を与えているのが、HIF-1遺伝子の働きなのです。
実はこれが浸潤をバックアップしています。

 ではこのHIF-1は異常遺伝子なのか?
 母体の中の初期胎児は、胎盤が不完全で血管が少なく血流が不足し低酸素の状態で分裂していかなければなりません。
また胚が成長するにつれ、分裂した細胞が器官を形成するために、細胞が移動してそれぞれのグループに塊を作っていきます。

 まさにこの低酸素状態のときに細胞の増殖、移動に大いに働くのが、HIF-1遺伝子です。
 つまり元々備わった種を保存するためには絶対必要な遺伝子だったのです。

 三億年前の恐竜の化石に癌細胞が発見されているという事実もあります。
つまりHIF-1遺伝子は、生物が発生する過程でとくに初期段階で、無くてはならないものなのです。
それが皮肉なことに癌細胞の増殖、浸潤にかなり強く関与しています。



 ここまででわかることは、RAS遺伝子も、HIF-1遺伝子も、私たちの身体には必要不可欠なものであり、その存在は常に癌とは隣り合わせで、表裏一体の関係です。
それを踏まえて視点を変えて考えてみると、なぜ昔より今現在の方が、癌の発生率も死亡率も多くなっているのでしょう。

 例えば、現代の慌ただしい社会の中で、食事が不規則かつ日本人には不適切な高脂肪で高カロリー、睡眠不足、運動不足、養生を忘れてすぐ薬(化学物質)に頼る、これだけではなく全ての生活環境が強く影響して、一番大切な自己免疫の働きを忘れているように思えてなりません。

人類は何かこの得体も知れない癌という化け物に対して、何か戦い方が間違っているのではないかと感じています。


 次回は、癌と免疫細胞との不思議な関係や、新しい抗癌剤として注目されている、ある身近な物質に注目して考察していきたいと思います。


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