論文紹介:疼痛による頚部伸筋群の活動変化;mfMRI評価 3|健康コラム|日本カイロプラクティックドクター専門学院

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健康コラム

論文紹介:疼痛による頚部伸筋群の活動変化;mfMRI評価 3

mfMRI
   ・使用機材:3T MAGNETOM Trio-Tim system,syngo MR VB13 software, Siemens AG,Erlangen, Germany
   ・ポジショニング:リラックスした仰臥位で股関節
        45°屈曲位で頭部中立位、頚椎前弯中立位
   ・エクササイズによる筋T2変化(half-life)は7分間でみられることから、エクササイズ直後に被験者をスキャナーに移動させた。(exercise ‒ scanning間;116±9秒)
   ・椎間板腔撮像のために頚椎矢状断画像を撮像し、次いで、椎間板に対する水平断画像(C2-C3,C7-
     T1)を撮像した。
     view:256mm, matrix:128×128, voxel size:2×2×5mm)

データマネージメント
   ・muscle T2算出にはImage J, a Java-based version of public domain NIH Image softwareを使用
        ・ROI:水平断画像上で多裂筋、頚半棘筋、頭半棘筋、頭板状筋のC2-3,C7-T1の2レベル
       例外;C7-T1で頭半棘筋の判別不可(ROI無)
      多裂筋と頚半棘筋の判別が困難であったため 1 ROIとした。
   ・全てのROIで脂肪、膜、血管など筋組織以外が加わらないよう注意を払った。


統計解析
    ・PASW statistics 18を使用し解析を行った。
    ・疼痛、RPE(各エクササイズと各コンディション)、T2値(milliseconds)、T2 sifts(T2値エクササイズ後と休息の差異)の平均値及び SDを算出
    ・RPEとT2 siftsの分散分析
   ・筋に対する疼痛の影響は、エクササイズ後の疼痛有と疼痛無のT2 sifts比較により検討

結 果
疼痛の度合:投与30秒後 5.8±1.1
      1回目エクササイズ後 4.8±1.1、
      2回目 2.9±1.1、3回目 1.3±1.5
RPE:コンディションとエクササイズとの間に相互作用がみられた。(F=4.903;P=0.030)
   疼痛有状態で各エクササイズにおいて有意に増加(P<0.001)、疼痛無では有意差無(P=0.872)

コンディション間(疼痛有、無)では1回目のエクササイズで有意差有(P=0.004)疼痛による筋への影響多裂筋/頚半棘筋:コンディションとレベルとの間に相互作用がみられた。(F=5.481;P=0.035)Post hoc testでC7-T1レベルにおいてT2 sift低下(P=0.045)、C2-C3レベル;有意差

無頭半棘筋:相互作用及び影響無
頭板状筋:計測レベルで影響有(F=7.284;P=0.017)、 コンディション×左右影響有(F=16.13;P≦0.001)

 Post hoc testでは、疼痛有において、C2-C3レベルで左側にT2 sift増加(P=0.008)、C7-T1レベル右側にT2 sift低下(P=0.023)が検出された。

photo2


考 察

 本研究では、誘発性筋痛による頚部伸展運動時の頚部伸筋群の活動変化が示唆された。
最も顕著な変化として、疼痛有状態で多裂筋/頚半棘筋の両側C7-T1レベルにおいて活動低下がみられたことである。

それに対し、頭板状筋では、疼痛側C7-T1レベルで活動低下、筋注反対側C2-C3レベルで活動増加がみられた。
この現象は、深部筋(多裂筋/頚半棘筋)活動低下による浅部筋(頭板状筋)への二次的な影響であると考えるが、注意すべきは、頭板状筋疼痛側C7-T1レベルでは活動低下、比較的浅い筋である頭半棘筋では有意差が無いということである。

この結果は、一部或いは少なくとも、先行研究で報告されている頚部痛患者の伸筋群筋力、耐久力変化と関連すると考えられ、頚部痛患者の臨床に応用できるであろう。

 本研究結果は、Fallaらの実験的疼痛誘発(胸鎖乳突筋への注射)による疼痛側頭板状筋の活動低下と反対側他の頚部筋活動増加という研究結果(EMG計測)と一致している。

これらの筋活動変化は、疼痛下で同じ力を維持するための神経、筋の反応であると考えるが、RPE結果(higher effort in the pain condition)からも妥当な見解であろう。
photo3

Limitations
 筋機能再構築はタスクを行うための一過性のものであると思われ、長期間(慢性頚部痛)では、頚部伸筋群に逆の影響がみられると報告されている。
多裂筋/頚半棘筋の活動低下については、先行研究において結果が同様なもの、異なるもの双方存在する。また、本研
究では実験的疼痛を採用しており、実際の臨床での頚部痛とは生理学的に、及び患者の感情にやや相違があると思われる。


結 語
 本研究は、疼痛発症直後の頚椎深部及び浅部伸筋群の活動を調べた最初のものである。
臨床的観点において、頚部外傷初期の頚部筋群への対処の必要性、及びその対処により症状悪化の予防できることを期待する。

頚部痛に対する臨床に幅が広がるよう、今後、頚部痛患者に関する更なる研究が望まれる。